ネコは肉食で肉を消化しやすいようにできている
ネコはもともと肉食動物です。肉食の動物は、食べるとすぐ吸収できる状態、つまりよく咀嚼して無駄なく吸収します。あまり噛まずにたべて胃や小腸で消化する草食動物とは異なるわけです。この傾向は、イヌよりネコの方が強く、そのため、ネコは肉食に適した体になっていて、必要としている栄養も異なります。
ネコは肉を充分利用できるようになっているので、糖質(炭水化物)はそれほど重要な栄養素ではありません。したがって、ネコは甘いものを好みません。
ネコの健康を維持するための栄養要求量については、アメリカ科学アカデミーのNRC(調査研究協議会)の基準が世界的に信頼されているデータがあります。この数値をクリアするようにキャットフードが作られています。
人間と同じ食べ物ではダメ
たとえば人の所要量では、タンパク質は20%しか満たされず、脂肪も50%しか補給できません。カルシウムは5%しかありませんので、人の食事では95%も不足することになります。多すぎるものの代表として食塩は倍も入ってしまいます(ほかのデータでは3倍という指摘もあります)。その他ピタミン類はすべてかなり不足してしまうことがわかります。つまり、猫には猫の用に作られたキャットフードをあげる必要があるということです。
実は、動物性の食物にはビタミンやミネラルが偏っているものが多いのです。これだけで済ませてしまうと、栄養バランスが偏るので、適量の炭水化物を混ぜてあげても良いと言えます。食物繊維は猫にとって必要ではありませんが、便秘や下痢の予防などに多少混ぜることもあります。
猫にビタミンCは必要ない
ネコは人とちがってピタミンCを体内で合成できますので、食品から摂取する必要はありません。ネコを飼っている人たちの多くは、ネコが好きなものはネコ自身が本能的に選択して健康によいものを食べていると思いがちですが、もともと人間の食料を与えているのですから、ネコによいものばかりではありません。
肉類や魚も、食卓にのぼるものはほとんど筋肉に相当する部分ですから、カルシウムはごく微量でリンが多くふくまれ、高リン食といえます。カツオプシもナマリもマグロの切身も同類です。いずれも日本のネコが好きなものばかりですが、これだけを長期間与えていては、栄養バランスも悪く健康によくありません。